能智プロジェクトは北近畿エリアのなかでも「海の京都(福知山市・伊根町・綾部市・舞鶴市・宮津市・与謝野町・京丹後市)」のエリアで主に活動しています。そこで、本コーナーでは北近畿エリアで出会った学校や先生の魅力についてご紹介。第二回目は京都府与謝郡伊根町立本庄小学校を、ニューロダイバーシティ研究部の村上由紀さんがご紹介くださいます。

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第二回 京都府与謝郡伊根町立本庄小学校

 本庄小学校は、京都府の最北端、海と山に囲まれた本庄地区にあり、背後には「浦嶋神社」がたたずみ、正面には布引の滝が流れる、美しい風景に恵まれた場所に建っています。

伊根町立本庄小学校

 この地は、昔話『浦島太郎』の舞台のひとつとされ、今も「浦嶋子(うらしまこ)」にまつわる伝説が語り継がれているそうです。学校の中にも、浦島伝説にゆかりのあるものが、あちらこちらに見られました。

【浦島伝説が息づく本庄小学校】

浦島伝説を描いたパネル画

 まず目に飛び込んできたのは、体育館前にどっしりと置かれた、浦島伝説を描いたパネル画。その大きさと迫力に、思わず足を止めて見入ってしまいました。

本庄小学校の校章

 また、一文字幕上に見える本庄小学校の校章は、浦嶋神社に伝わる玉手箱に描かれた亀甲紋を模して作られているそうです。

学童の工作物

 体育館の後方をふと振り返ると、窓には、鯉のぼりやチューリップといった、5 月らしい季節の工作が飾られていました。見ているだけで、なんだかあたたかい気持ちになりますね。

浦島伝説

 さらに、職員室の上には、浦島伝説をテーマにした児童生徒の絵が数枚、色鮮やかに飾られていました。廊下を歩いていると、ふと目がとまり、引き込まれるように見入ってしまいます。

とこよのくにのうらしまさん

 浦島太郎の話をしているときに、田中晴彦校長先生が紹介してくださったのがこの絵本。 これは、2011 年に絵本作家の田島征彦さんと本庄小学校の35人の子どもたちが、半年かけて共同制作したものだそうです。郷土の物語をテーマに、みんなで絵本をつくるなんて素敵すぎて、ちょっとうらやましく思いました。 こうして、学校の中を見て回るうちに、「本庄=浦島太郎」というイメージがすっかり定着していきました。

【授業風景】

 本庄小学校の全校児童はおよそ 20 名と少なく、学年を越えてともに学ぶ複式学級も設けられています。

複式学級1

 ちょうど見学に伺った際には、1 年生と 2 年生が合同で生活科の授業を行っており、2 年生が昨年学んだ内容を 1 年生に発表するかたちで、学び合いの授業が進められていました。

複式学級2

 その中で印象に残ったのは、先生の子どもたちへの関わり方でした。学年ごとに課題が違う中でも、それぞれに目を配りながら、丁寧に関わっておられて、全体としてもしっかり授業が進んでいく。そのバランスのよさに、思わず「すごいなぁ」と感じました。

複式学級3

 他の学年の授業でも、少人数ならではのあたたかな雰囲気の中で、先生が一人ひとりに丁寧に寄り添っておられる様子が印象的でした。

窓の外

 「はい」「はい」と元気に手を挙げる子どもたちの奥、窓の外にはのどかな景色が広がっていました。あのとき見た風景や子どもたちの声が、今でもふんわりと思い出されます。(村上由紀)