シンポジウム

シンポジウム「インパクト投資の観点から学術活動のあり方を考える」を開催しました(その1 オープニング篇)

東大インパクト投資シンポジウム

 金融系、研究系、そして財団法人……様々なプレイヤーが入り交じり白熱した3時間半。

 人文・社会科学的なアプローチ型研究は、ヒトや社会を対象とするため直接的なソーシャルインパクトを持つ可能性が高い一方、研究費に限りがあるという課題を抱えています。そこで本シンポジウムでは、社会・環境にもたらす変化と財務的リターンを両立する考え方「インパクト投資」の観点から、アプローチ型研究の社会的価値を再評価し、学術活動の新たな可能性を探りました。(詳しい開催概要はこちらから

ポスコロSIP PD 西村訓弘先生 能智正博教授

 開会あいさつは、主催者を代表し、ポスコロSIPのPD(プロジェクト・ディレクター)、西村訓弘先生(=写真左= 三重大学大学院 地域イノベーション学研究科 教授)がご登壇くださいました。(写真右は司会の東京大学能智正博教授)
 「SIP第三期は社会科学系の先生方にも加わっていただき、社会に最先端の技術や知見を導入する社会実装に重点を当てている。」とSIPについての説明ののち、「人口減少はチャンス。高度経済成長時はナンバーワンの人が引っ張っていくような時代だったが、人口減少時代はオンリーワンの時代。それぞれの個性を活かして活躍できる社会を創りたい。そのような動きを支えるものとして、インパクト投資があるのであればありがたい」とインパクト投資研究に対する期待を語りました。

東京大学津田理事 日本総研翁理事長

 来賓あいさつは主催地を代表してから津田 敦東京大学理事・副学長(=写真左=)、そして翁 百合日本総合研究所理事長(=写真右=)が登壇されました。

 津田理事からは「社会課題というのが世の中にたくさんあって、本来、国とか自治体とかが解決していたものでも、それができなくなってきて、スタートアップであるとか、NGO、NPOであるとかを投入してこの穴を埋めようとしている。多分、このインパクト投資をめぐる議論にも同じような構図があって、誰がその穴を埋めようとするのかということをみんなで工夫している最中。
 10年後、20年後、30年後に我々がいい世界を作れるように、いろいろな方がいろんな工夫をして今それをやっている。その一つがインパクト投資であると理解している」とインパクト投資への期待をいただきました。

 翁理事長からは「日本がこれから迎える人口減少社会において、人への教育、人への投資というのは最重要課題。そう考えると、人文社会科学系研究が果たす役割はますます大きくなり、ポスコロSIP採択研究に対する期待はますます大きくなるだろう。
 例えば、教育分野においては、我が国の未来を支える子どもの孤立、貧困、不登校などの子どもを取り巻く諸課題に、どのように社会は向き合い解決していくか、教育の負荷をどう軽減していくか、また教育分野の社会課題の取り組みに対してスタートアップが随分頑張っているが、そのスケールアップをどのように図っていくか、こういった点について早急に対策を講ずべき課題が数多くある。
 しかし、我が国においては、このような中長期的な取り組みを進めている人文社会科学系の研究を支える資金調達スキームというのは、成熟しているとは言えないという状況であり、本シンポジウムがこの問題解決に向けた第一歩であるということに大変期待をしている」と、ポスコロSIPが取り組む研究活動に対してエールを送っていただきました。

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